今年の夏の大計画は「3000m級の高峰、中央アルプス・木曽駒ケ岳(2956m)」と決めて、6月に丹沢・三ノ塔へトレーニング山行を行うなど準備を重ねてきました。関東甲信では7月18日に梅雨明けし、例年だと「梅雨明け10日」といって安定した夏空が続く時期のはずでしたが、今年は上空の寒気団と暖気団が重なって非常に不安定な天気が続きました。山では連日、昼頃から雷雨にみまわれるという状況が続いていました。

1日目、私たち5名は、新宿から高速バス、路線バス、ロープウェイと乗り継いで、ちょうど昼頃に千畳敷駅に着きました。ここはもうすでに標高2612mの別天地のはずでしたが、意外にも空気は蒸し暑く小雨が降り出していました。雨具を着て歩き出しましたが、歩き始めて30分、遊歩道から登山道に分かれるあたりから雷が鳴り始め、しだいに雷鳴が近づいているようでした。こうした状況の中、このまま雷雨の中を歩き続けるのは危険だと判断し、千畳敷駅へ引き返すことにしました。雷雨は時折激しく降り、ロープウェイも運行を一時休止する事態となりました。そこでこの日の登山は断念し、予約していた山小屋をキャンセルし、急遽、麓の宿を探したところ運よく見つかったので、ロープウェイの再開のタイミングで下山しました。麓の宿は家族経営の小さな温泉宿でしたが、急な宿泊者をとても親切に迎えてくださりほっと一息つくことができました。夕食は、すき焼きや鯉の甘露煮など思いのほか豪華な郷土料理をおいしくいただきました。そして、山小屋の板敷きの大部屋ではなく、畳の上の暖かい布団で夜の眠りにつきました。
早太郎温泉西山荘の夕食
刺身、すき焼き、鯉の甘露煮など郷土料理の品々。朝食の麦とろご飯もおいしかった。

翌日、リベンジとばかりに再び路線バスとロープウェイを乗り継いで千畳敷駅へ。時間的に木曽駒ケ岳登山は無理なので、千畳敷カールの遊歩道をゆっくり時間をかけて一回り歩くことにしました。千畳敷カールとその上にそびえる宝剣岳などの峰々の絶景を眺めながら、また遊歩道の脇に生える様々な色の高山植物を観察したり写真に撮ったりしながら休み休みゆっくり歩きました。
千畳敷カールを彩る高山植物の花々


雲の流れは速く、時折峰々が雲に隠れたり、そうかと思うとぱっと青空が広がったりと変わりやすい天気でしたが、幸い雷も鳴らず、雨にも降られず、昼前には千畳敷駅に戻り、そのまま下山しました。予約していた帰りの高速バスの時間までかなり時間があったので、麓でこの地の名物「ソースかつ丼」の昼食をゆっくり食べたりして、予定通りの高速バスで帰路につきました。
目標にしていた木曽駒ケ岳登頂は叶いませんでしたが、千畳敷カールの絶景と様々な高山植物を堪能して、さらに望外の温泉宿1泊のオマケまでついて楽しい思い出に残る山歩(さんぽ)になりました。いっぽうで、やはり自然の力には抗えません。雷雨のせまりくる中、「勇気ある撤退」を決断しましたが、山と天気、安全第一であることについて勉強させられた山歩でもありました。何よりも全員が無事に帰宅できたことがよかったです。
【報告者:2期生 永見 章】
【参加者の感想】
*路線バスに乗って、くねくね道路を上へ上へと行くと、駒ヶ岳ロープウェイ乗り場に着きました。そこから何と7分半の高速で一気に標高2612mの雲上の世界に到着します。氷河の侵食作用により形成された千畳敷カール!しかし、駒ヶ岳に向けて小雨の中の出立から、次は太陽の日差しが眩しくて雨具を脱ぎ、次に雲の流れが早くなりやがて雷が…と目まぐるしく天候が変わりました。リーダーの判断で下山しました。次の日に千畳敷カールでの高山植物をゆっくりと愛でることができ、また、温泉にも入り、2度美味しい思いをした気がします。
*連日お昼頃からの雷と豪雨という自然の猛威の前に残念ながら木曽駒ヶ岳登頂は断念しましたが、代わりに千畳敷カールに咲く可憐な高山植物たちをジ〜ックリと観察することができました。いつかまた、登頂にチャレンジしたいと気持ちを新たにしています。
*週初めから山沿いを中心に激しい雷雨の発生が続いており、木曽駒ヶ岳登頂は断念しました。千畳敷カールからカール壁に雪渓が見られました。ホテル千畳敷の壁にイワツバメの巣を発見。ヒナ鳥は確認できませんでしたが、親鳥2羽が飛び交っていました。お花畑に高山植物が咲き誇り、たくさんのミツバチが飛び交っていました。その中にイタドリの群生も花を咲かせていました。下山の途中、バスの窓から運良くニホンカモシカに出会うこともできました。宿の外では野生猿にも遭遇しました。今夏の登山はいろいろな発見や出会いがあり、高峰の雄大な景色と自然美を満喫することができました。
*緑濃い木々が生い茂る山をバスで通り抜け、ロープウェイに乗りました。ロープウェイから見る急斜面の岸壁、迫力ある大きな滝に心動かされながら千畳敷に到着。そこから望む千畳敷カールの迫力、素晴らしさ。登山経験の少ない私はその絶景に感動しました。
2日目は、千畳敷散歩道からリーダーが準備してくれた「木曽駒ヶ岳に咲く花」のしおりを参照しつつ、お花畑に咲く可憐な高山植物を観賞できました。麓では、朗々としたヒグラシの鳴き声に聞き入ったりと、酷暑の東京を脱し、涼しい木曽駒ヶ岳で視覚、聴覚にも心地よい刺激を受ける貴重な体験ができました。
【問合せ先】 tmupc-club-sanpo@googlegroups.com
コメント