第6回 Food & Talk ラボ 報告

調理器具から見た日本の食卓史

――フライパンと出刃包丁の現在地「出刃包丁は冬眠中?」――

 今回の Food & Talk ラボ には、1期生から6期生まで 18名 が参加。
世代もバックグラウンドもさまざまですが、共通点が一つあります。

 食べ物の話と台所道具の話になると、急に元気になること。
この日も例外ではありませんでした。

 静かな黙とうから、にぎやかな食談義へ

 会の冒頭では、今年1月にご逝去された
プレミアムカレッジ名誉教授 山田昌久先生 に黙とうを捧げました。

 先生は Food & Talk ラボの活動も温かく見守ってくださっていた方です。
参加者一同、静かに感謝の気持ちを伝えました。

そして黙とうのあと、空気は一転。

Food & Talk ラボらしい、
にぎやかな食と台所談義の午後が始まりました。
「その調理器具、最近使いましたか?」

 本日のメインイベントは
四期研究生 小口さんによる講演。テーマは、修了論文をもとにした

「シニア世代の家庭における調理器具の変化」

……と書くと学会発表のようですが、
要するにこういう研究です。

家にあるけれど、最近まったく使っていない調理器具は何か?
いわば
「台所あるある」を真面目に研究してしまった論文です。

講演では、調査結果とともに次のような興味深い話が紹介されました。

フライパンは万能選手
 炒める、煮る、蒸す、揚げる、茹でる。
フライパン一つで何でもこなす「ワンパン料理」が増加。

電子レンジは圧倒的エース

 現代の台所で、
もっとも働いている家電。

出刃包丁は冬眠中?

 持ってはいるが、ほとんど使われない。
家庭で魚を丸ごとさばく機会が減っているためです。

巻きす・すり鉢も「お休み組」

 台所の引き出しの奥で
静かに眠る道具たち。

魚は「さばく」から「切り身を買う」

 料理の工程そのものが変化しています。
 この 「出刃包丁冬眠説」 には、会場のあちこちから
深い苦笑と納得のうなずきが起きていました。

講演終了。ここからが本番
Food & Talk ラボの真骨頂は、実はここからです。

講演のあと、テーブルに並んだのは
・ひな祭りのお菓子
・差し入れの菓子やフルーツ
・そして デザートワイン6種類

 つまり、討論会という名の食談義タイムが始まりました。

我が家の「台所道具自慢大会
 ここからは、参加者による
お気に入り調理道具の紹介大会です。

江戸時代から続く豊島屋本店の白酒の説明をする池さん

 台所の話になると、皆さん実に楽しそう。

盛り付けは料理の半分以上(あいさん)

持参されたのは

・盛り付け箸
・盛り付け用ピンセット

 まるで外科手術の器具のようですが、
料理の仕上げには欠かせないそうです。

 味と同じくらい見た目が大切。
料理人の哲学です。

盛箸と盛り付けようピンセット

気分が上がる道具(滝さん)
 紹介されたのは

・レモン絞り
・クリステルの12㎝鍋
この鍋、一人分を作るのにちょうどよく、
そのまま器としても使える優れもの。
美しい道具は
料理のやる気を上げるのだそうです。

お気に入りの鍋とレモン絞り

「私は洗い物担当」(森さん)

 料理というより後片付け専門とのこと。
おすすめは レミパン。煮物もこれ一つで作ってしまう
万能鍋だそうです。

パン切り包丁に人生をかける(増さん)

 なんと

・食パン用
・ハードパン用

パン切り包丁を2種類使い分け。
パンの世界も奥深い。

昭和の台所(泉さん)

 料理はあまりしないとのことですが、
奥様は すり鉢で和え物 を作るのが得意だそうです。
 会場から
「いいですねえ、昭和の台所」という声があちこちから。

捨てられない蒸し器(小さん)

 結婚のとき母に買ってもらった蒸し器。
一度も使っていない。
しかし
捨てることもできない。
そして最近購入した
ゾーリンゲンの包丁の切れ味に感動したそうです。

差し入れのフルーツ

雑誌付録の進化(大さん)

 奥様がやっと手に入れた料理雑誌。
その付録は
ガラス容器+電子レンジ料理。
2〜3人前が簡単に作れるそうです。

現代の台所は
ここまで進化しました。

憧れのエスプレッソ(高さん)

 独身時代の道具は
ほぼ絶滅(笑)

唯一残っているのは

・トースター
・コーヒーメーカー

理由は
奥様が使わないから。(笑)
そして憧れは
父が使っていて格好良かった直火式エスプレッソ器具。

そば打ち道具一式(幡さん)

 パワーポイント付きで
そば打ち道具を紹介。
会場から
「ぜひ二八そばの会を!」という声が。
Food & Talk ラボ、次の企画が生まれそうです。

電子レンジ万能説(林さん)

ゆで卵も
焼き魚も
パスタも
電子レンジで。
講演を聞いて「今どきの学生と同じ。最先端ですね(笑)」と意を強くしたそうです。

新兵器:低温調理器(宮さん)

 ローストビーフを作ったところ

ほったらかしで絶品。
さらに
燻製器も愛用中。
 チーズをいぶして楽しんでいるそうです。

圧力鍋万能主義(池さん)

・トースターなし
・炊飯器なし
・やかんなし
ほとんどの料理を
圧力鍋で作る。

ガラスのまな板

 そして

ガラスのまな板は何十年も現役。
旅客機の窓素材だそうです。

30年選手の鍋(萩さん)

 ビタクラフト鍋を30年以上使用。
ピーラーはドイツ製 リッター。
さらに
「冷凍サーモンをさばくのに苦労して
冷凍包丁の存在を知った」という実体験も。

自家焙煎コーヒー(亀さん)

 ごま炒り器で
コーヒー豆を焙煎。
この日の豆はコスタリカ。

焙煎中は
コスタリカの風景を想像するそうです。

コーヒー焙煎セット

電子レンジ料理の達人(江さん)

 アイラップを使えば

半熟卵をはじめ
さまざまなレンジ料理が簡単にできるとのこと。
キャベツ千切りスライサーもおすすめ。

台所は実験室(原さん)

 料理の基本は

重さ・量・温度を測ること。

微量計量スプーン
中心温度計など

まるで
科学実験のような道具が並びます。

ティーバッグを絞る器具(小口さん)

 世界各地の紅茶ティーバッグを絞る
専用器具の数々。

「そんなものがあるのか」と一同びっくり。

世界のにんにく絞り(竹さん)

 アジア旅行で購入した
にんにく絞り器。
世界にはまだまだ
知らない台所道具があるようです。

台所は人生の履歴書
 こうして話を聞いてみると

料理人タイプ
うんちくタイプ
食べる専門タイプ
洗い物担当タイプ

 実にさまざまな台所があります。
しかし共通していたのは
道具には思い出があり、人生がある
ということ。

 使われているフライパンも
眠っている出刃包丁も

 それぞれの家庭の歴史
静かに語っているようでした。

次回は何を作る?
会の終盤では
・手打ちそばの会
・燻製の会
・低温調理の会
などの企画案も浮上。

Food & Talk ラボの合言葉は
「食べながら学び、学びながら飲む」

最後に記念写真

次回もまた
にぎやかな台所談義になりそうです。

(文責 竹澤、小原)


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