豆 飯
豆飯を囲む昭和の子沢山 夏目 重美
豆飯の豆はグリーンピース(実豌豆)、蚕豆、大豆など地域や季節により色々、私にとっての豆飯の豆はグリーンピースである。
釜の蓋を取ると、一気に広がる湯気と香りと緑の輝き、印象深く記憶に残る。豆飯を囲む食べ盛りの六人兄弟、お櫃は瞬く間に空となった。戦前、戦中、戦後と続く昭和の子沢山の時代、豆飯は家族の食卓に賑わいと潤いのひと時をもたらしてくれた。
あれから七十年、遠くの知人から初物のグリーンピースと蚕豆が届いた。先ずはグリーンピースの豆飯を炊こう。明日は蚕豆の豆飯を炊いて見よう。 早春の吉日
夏目重美「列島春秋(夏目重美の俳句)、春秋余滴(夏目重美の文)」『現代俳句』現代俳句協会令和4年4月号7~8頁より転載。
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