青い空に白い雲、澄んだ空気、透き通った多摩川の流れ、色付き始めた木々、そして今回FWのメインディッシュである新酒・古酒。10月23日に開催された「日本酒を学ぶFW」は絶好の条件に恵まれました。新酒が飲めるとウキウキ気分の日本酒好きの方々のほか、日本酒を知りたい、学びたいという方々が集まり、奥多摩にある元禄15年(赤穂浪士討ち入りの年)創業の澤乃井さん(小澤酒造)の酒蔵を見学させていただきました。
まず全員の目を引いたのは、酒蔵軒先に吊るされた真新しく深緑に輝く杉玉です。杉玉は新酒ができた合図ですが、通常目にするときは茶色に変色していることが多く、フレッシュな緑の杉玉に否応なくテンションが上がります。薄暗くひんやりとした土壁作りの酒蔵に足を踏み入れると、歴史と伝統技術を肌で感じる別世界の空気感が漂います。参加された皆さんは日本酒ファンだけあって、案内の方の説明にメモを取ったり、熱心に質問をするなど、日本酒への好奇心と熱意が感じられました。
酒蔵見学後は、清流ガーデン澤乃井園内にある「ままごと屋」で、思い思いに利き酒を楽しみながらのランチタイムです。渓流を眺望できる部屋で、料理に舌鼓を打ちながらお楽しみの新酒を味わい、利き酒品評会が始まって盛り上がるなど、コロナを忘れる明るい雰囲気に包まれました。
食後は、多摩川の吊り橋を渡り、川向こうにある寒山寺と櫛かんざし美術館への散策に出発。寒山寺の鐘楼では順番に鐘を突き、山あいに拡がる鐘の音の余韻は、ひととき喧噪を忘れ心地よい気分にさせてくれました。その後の櫛かんざし美術館では、収集された展示品の数々について館員の方から丁寧な説明を受け、あらためて伝統芸術の極みを感じる機会を得ました。
今回のFWを通じ、東京で美しい自然が護られ、そこで育まれた日本酒造りの伝統・技術がいまも脈々と継承されていることを再確認することができました。そしてこの大切な環境や伝統技術を、しっかりと次の世代に伝えていきたいという思いを強くする一日となりました。
参加者の皆さんから寄せられた感想をご紹介します(抜粋)。
・事前資料からは寒山寺の歴史を予習でき、青梅までの一人旅ではリマインドメールの時刻表詳細にも勇気づけられました。新酒の時期に酒蔵見学ができ、自然の中で試飲できたことが良かったです。また、櫛かんざし美術館では、美術館員の方からの説明があったおかげで、多くのことを知りました。
・日本酒の蔵元を訪ねるのは初めてで、日本酒の製造工程を興味深く学ばせて頂きました。また、日本酒を熟成させた古酒も味わうことができ、体験が広がりました。当日は朝から天候に恵まれ、奥多摩の多摩川沿いの紅葉の走りが楽しめたのも、とてもよかったと思います。寒山寺や櫛かんざし美術館への歩行距離はそれほどではありませんでしたが、傾斜のきついところが多くて運動にもなりました。
・私にとって初めての酒蔵見学となったこの日は、丁度新酒が発売されるということで蔵の軒先に「蒼い杉玉」が吊り下がっているのを見る事ができました。近年は機械化が進んでいる様ですが、古くからある蔵の見学と酒造りに欠かせない米と水(湧水)について詳しく説明を聞くことができ、大変勉強になりました。美しい奥多摩の自然に気持ちが癒やされると共にこの様な場所だからこそ、おいしい日本酒が出来るのだと思いました。
・自家精米を行っていること、酵母の使い分け、越後杜氏を今は呼んでいないこと、熟成酒=古酒が高価であることを新たに知ることができました。ランチ時の利き酒で食中酒としてどれが最適化かで皆さんの意見が一致。本醸造の新酒がそうだったのですが、本来の澤ノ井らしい味わいだと思いました。越後杜氏由来の伝統的な味を守ることと、時代に合わせた新しい酒造りに取り組む必要のある酒蔵の苦労がよく分かりました。
・神棚をくぐって江戸時代に造られたという酒蔵に入ると、自然と身が引き締まる様な神聖な気持ちになり、山の緑と清らかな湧水、多摩川の清流を眺めているだけで心が洗われるような、最高に気持ちの良い一日でした。ちょうど新酒が出たばかりという絶妙なタイミングでの企画のおかげで、真新しい杉玉を見て、出来上がったばかりの新酒を味わうという贅沢な体験をさせていただき感謝しています。
・日本では花見酒、雪見酒など四季を日本酒とともに楽しむ文化がありますが、今回は秋の新酒を利酒スタイルで体験させていただきました。酒蔵見学では酒づくりの現場から、①酵母や麹菌が活躍する仕組み、②そのような菌が活躍できる環境づくりが大切、③そのような環境をつくれる人づくりが一番大事、などモノづくりの側面から日本文化に直に触れることができました。大変貴重な学びの機会となりました。
・楽しい一日をありがとうございました。東京の酒造会社があのように頑張っていることを知って、何だか嬉しくなりました。東京の懐、深いですね。次回を楽しみにしております。
・秋晴れの中、奥多摩の自然を感じながら小澤酒造見学等充実した1日でした。ままごと屋のランチでは寒山寺の鐘の音を聞きながらゆったりとした気持ちでお料理を味わい、非日常的な時間でした。私は初めて訪ねる櫛かんざし美術館が一番印象的でした。特に館長さんの詳しい説明に当時の女性の装飾品や創る人の技術に心を惹かれました。
・酒蔵の気温が、空調を使っていないことに大変驚きました。また、洞窟のように掘られた先の湧水にも感動しました。今のように科学も技術も進歩していない昔の人の知恵と努力を肌で感じる体験をさせていただきました。坂道もありそれなりに歩いたと思うのですが、皆さんと楽しく歓談しながらだったので、あっという間の時間でした。東京にもこんなに気持ちのいい自然があるのだなぁ…と、きれいな空気をいっぱい吸って帰ってきました。澤乃井ガーデンでの自由時間も、各々利き酒したりお土産を買ったり楽しく過ごしていて、こんなにいい仲間と休日を過ごせるのは嬉しいことだなぁと実感しました。また次の機会も楽しみにしています♪
皆さんのコメントにも熱い思いが感じられますね。
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