開催日: 2022年10月20日(木)
開催場所: オンライン
出席者[入会順、敬称略]: 荻野、関、増山、森本、宮嶋、深田、柳下、鈴木
<発表者> 柳下
垂仁天皇第11代天皇3回目皇后の兄狭穂彦王の謀反について発表した。
みなさんは狭穂彦王の謀反と聞いてどんなイメージでしょうか。
禁断の兄妹愛・狭穂彦の野望・垂仁天皇の狭穂姫ヘの愛などなど考えられますよね。
今回は「本当に禁断の兄妹愛だったのか」についてメインテーマとして考えてみました。
文献、資料は狭穂姫の視点から書かれているものが多くみられ、単なる禁断の兄妹愛を語るものは見つからなかった。狭穂姫の巫女性、一族にとっての女性の重要性、子を産む女性への敬意を感じた。そこに命をつないでいく血を絶やさないことがこの時代、いかに大切なのかという事か伝わってきた。
また、日本書紀では日付けが表記してあり、提案から一年の歳月が流れていた。この状況を想像しただけで涙が出てしまう・・・まるで 韓国ドラマを見ているようだ。というより韓国ドラマを見すぎ⁈
私は「禁断の兄妹愛ではなく、一族の紐帯であり、兄妹の恋愛と読み取れない」と結論つけた。
垂仁天皇のイメージは、田道間守というやさしさと感じる反面、野見宿禰相撲の様に死闘、殺しあう事を強要することが出来る残忍さの二面性を感じた。そして、気になる「寝取られ天皇」「美人好き」というワードも出てきた。(角力の元祖p141~142)実際はどちらか⁈益々気になる。
日本書紀を読み解きながら、古事記にも触れ、魅力も強く感じた。日本書紀の中では語られていない垂仁天皇の姿を古事記と合わせて調べていくとまた、違う垂仁天皇も見えてくるかもしれないと改めて感じた。発表でひとしきり想いを聞いて貰った後、感想を頂き様々な視点での感想を頂けて新たな視点も嬉しかった。次回はどんな発表を聞くことが出来るのか、そして、私自身も何を発表しようかと、とても楽しみだ。
<感想> 宮嶋
『日本書紀』巻第六には垂仁天皇に関する様々な伝承が記されています。担当の柳下さんは、①田道間守「非時の香実」②野見宿禰「角力」の前2回に続き、第3回目となる今回は「狭穂彦王の謀反」について発表されました。多くの先行研究を調べ、それらの知見を踏まえながら、狭穂姫の巫女性や子孫を繋いでいくための女性としての立場について触れられ、禁断の兄妹愛ではなく、兄妹の古代紐帯がこの謀反を行なわせたのではないか、との見解を示されました。また、古事記と日本書紀を併読し、表現や記載の相違について詳細に述べられていました。
天皇の事績を掘り下げるためのアプローチは個々で異なりますが、多くの研究知見から多角的な捉え方を学ぶ事により、そこから天皇の人物像をより深く知る事が出来たのではないでしょうか。柳下さんが次はどの様な事績から垂仁天皇の人物像に迫るのか?・・・楽しみです!!
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