冷たい雨が降る中での開催ではありましたが、1月20日(土)に本年第一回のFWを実施しました。
今回は、上野の国立科学博物館で定期的に行われている、天文学普及講演会に参加し合わせて常設展示および特別展示(「和食―日本の自然、人々の知恵―」)を見学する予定としました。
天文ニュース解説では、当日未明の話題であった、月着陸実証機(SLIM)に関する講演でまさしくジャストミートなタイミングとなりました。
FW後は、浅草に移動し究極の「鮟鱇鍋」を囲み反省会と今年の各自の抱負の確認を行いました。
FW内容は以下のとおりです。
1.国立科学博物館天文学普及講演会聴講(@日本館2階講堂)
『天文ニュース解説』 理工学研究部 洞口 俊博 氏
①「小惑星によるベテルギウス食」
②「月着陸実証機(SLIM)」
③「X線観測衛星(XRISM)」
以上の3点について、90分間の講義を聴講しました。
①「小惑星によるベテルギウス食」
12月12日(火)にトルコからスペインの一部にかけて、小惑星「レオナ」によるオリオン座の一等星ベテルギウス食が観測された。小惑星が恒星を横切る現象は数百年に1度程度の極めて珍しい現象。わずか11.6秒間の現象に日本からも多くの観測隊が参加した。
完全な皆既食になることも期待されていたが、部分食という結果が確認された。減光の規模は、△2等級の減光が観測された。皆既食にならなかったのは、ベテルギウスが通常より、+20%ほど膨張していたためと推測されている。
<写真出典>
※1:「星ナビ」2023年12月号
※2:西日本新聞デジタル版 12月12日号
※3:SORAE宇宙ニュース 12月26日号
②「月着陸実証機(SLIM)」
H-ⅡA47号機で打ち上げられた月着陸実証機が、2024年1月20日(土)未明に、月着陸を成功させた。極めてホットなニュースの解説を聞くことができた。
SLIM (Smart Lander for Investigating Moon)とは、将来の月惑星探査に必要なピンポイント(100m)着陸技術を研究し、それを小型探査機(大きさは、2.4m×2.7m×1.7m)で月面にて実証する計画。月着陸後に行われた記者会見では、「太陽電池が電力を発生していない状況であり、現在、月面からのデータ取得を優先して実施しています。今後、取得できたデータの詳細な解析を進めます。今後の状況等につきましては随時お知らせいたします。」とのコメントが出された、詳細判明にはなお若干の時間が必要。
<写真出典>
JAXAプレスリリースキット 2023年12月25日、2024年1月20日
③「X線観測衛星(XRISM)」
JAXAは、X線分光撮像衛星(XRISM:クリズム)に搭載された軟X線撮像装置(Xtend:エクステンド)および軟X線分光装置(Resolve:リゾルブ)のファーストライト観測データを公開した。紫色がX線を放射する高温プラズマの分布を示す。これまでのX線の観測では視野の制約から銀河団の中心部のみを観測するか、複数回の観測で外側までカバーしていたが、一回の観測で銀河団の全体をとらえることができている。この銀河団は銀河団同士が衝突している天体で、画像は二つの銀河団それぞれに付随する高温ガスの分布をとらえている。
灰色で示されたX線天文衛星「すざく」のスペクトルと比較すると、Resolveのスペクトルは、「すざく」では見分けることができなかった複数の輝線を分離できていることがわかる。これらの輝線は超新星の起源となった恒星内部や超新星爆発によって作り出されたもので、Resolveの観測により、恒星や惑星、さらには生命のもととなるこれらの元素の宇宙における生成・流転について、新しい知見が得られることが期待される。
<写真出典>
JAXAプレスリリースキット 2024年1月5日
2.常設展示および特別展示「和食―日本の自然、人々の知恵―」見学(自由行動)
講演会終了後は常設展示および特別展示「和食-日本の自然、人々の知恵-」の自由見学を行った。
<特別展示の概要>
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて10年 。世界中で注目の高まる和食を、バラエティ豊かな標本や資料とともに、科学や歴史などの多角的な視点から紹介している。
日本列島の自然が育んだ多様な食材や、人々の知恵や工夫が生み出した技術、歴史的変遷、そして未来まで、身近なようで意外と知らない和食の魅力を紹介。
3.その他
講演会および自由見学後、メンバーご贔屓の浅草「鬼平」にて、究極の「鮟鱇鍋」を賞味しながら、FWの総括および新年におけるそれぞれの抱負を語り合い本日のFWを締めくくりました。
(松尾 佳宏 記)
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