【活動報告】2023.10.29古地図散歩の会

~名門女学校「桜蔭学園」前にて~

今回のコースは「東京崖百景 本郷台地の崖」。後楽園から駿河台、湯島まで本郷台地の縁の崖沿いの道を散策しました。天候に恵まれ楽しい古地図散歩となりました。

本郷台地は南北に細長い舌状台地。この台地は、江戸初期に人手によって掘られた神田川によって南北に分断されています。自然の崖と人工の崖が入り混じり、多くの物語の残る場所を巡る散策でした。急な坂にはつきものの「男坂」と「女坂」。湯島天神のそれは有名ですが、実はこの周辺には3組の男坂と女坂があるのです。

スタートは、水戸徳川家上屋敷のあった後楽園から。壱岐坂を少し上ると名門女子校「桜蔭学園」の瀟洒な歴史的建造物の校舎が見えてきます。参加者のおひとりがこちらの卒業生の才女だったという偶然に盛り上がりました。

坂を下って江戸城外堀に降りてくると、神田川の上に水道水を通すために作られた「樋」(とい)のあった上水樋跡に遭遇。「水道橋」はこの「樋」に因んで名づけられました。水道橋から猿楽町に入ると本日最初の「男坂」と「女坂」がみえてきます。猿楽町のある駿河台は北側が急斜面になっていました。

猿楽町の崖の上にはその名の通り「山の上ホテル」が聳え立ちます。洒落た作りの建物ですが、老朽化で来年から休業とのニュースが最近流れていました。建築家ウイリアム・ヴォーリスの設計で有名なこのホテルも創業70年。
どんな形で生まれ変わるのでしょうか楽しみです。

~建物老朽化のため休業が発表された「山の上ホテル」前にて~

駿河台から神田淡路町に足を延ばすとニコライ聖堂が見えてきます。その近くには再開発で建った「ソラシティ」という巨大なビルがそびえます。この地は江戸期には旗本・御家人屋敷。明治期に後藤象二郎、岩崎家の手に渡った後、しばらくたって日立の本社が長らくあった場所。再開発で巨大なオフィス商業の複合ビルとなりましたが、歴史のある場所でした。また、近くには三井住友海上の超高層ビルがありました。ここは明治・大正期の首相、西園寺公望邸跡。実弟が住友家に養子に入っていたご縁でこの地に建っているそうです。ここもまた由緒ある場所でした。

 ニコライ聖堂と湯島聖堂、二つの聖堂を結ぶ「聖橋」を渡って、湯島聖堂から神田明神へ。神田明神の東側は、急峻な崖でここは「明神下」と呼ばれます。 銭形平次の平次親分はこの神田明神下に住んでいたという設定でした。作り話ですが、かつてこの界隈を「岡っ引き」が走り回っていたような不思議な感覚に襲われます。明神下の崖は高く、ここに本日2組目の男坂と女坂が出てまいりました。

 最後は神田明神からさらに本郷台地の東の端の道を湯島天神を目指して北上します。途中、「妻恋坂」、「三組坂」、「実盛坂」、「中坂」とそれぞれ昔からの謂れのある地名のついた坂を通り過ぎます。湯島天神に近づくと本日最後の「湯島天神男坂」と「湯島天神女坂」に辿り着き、本郷台地の縁を巡る散策は終了地点に到着しました。

 11/26には江戸城外堀一周の3回目 溜池山王~四ツ谷の古地図散歩を予定しております。

『古地図散歩の会』世話人 深田武寛

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