Paris2024 オリンピックボランティア参加記録とフランス滞在

(左)公式ボランティア・ユニフォームとバッグ (右)現場研修時の各ボランティア・チームリーダ紹介の様子(フェンシング会場にて)

1.概要
 2024年7月21日から8月10日までParis2024オリンピックのボランティアに日本代表として参加した。7月20日にパリ郊外のアパルトマンホテルに滞在し、一人暮らしを開始。7月21日はアクレディテイション・カード(大会身分証IDカード)およびユニフォームの受取りを実施。同22日に現場研修(会場はGrand Palais)、24日から8月10日までボランティア活動に参加した。(内、7月26日は開会式セレモニー)
 担当業務はAthlete Service Memberで、主にアスリート周辺のセキュリティチェックやアスリートのパフォーマンスを最大限に引き出せるようなサポートをすることである。担当種目は前半(7月24日から7月31日まで)がフェンシング、後半(8月2日から10日まで)がテコンドーであった。

朝のボランティア・ミーティング前の様子(ボランティア控え室にて)

2. 経緯
 2023年11月23日に諦めかけていたが、ボランティアの対象となった旨の通知をメールにて受信。オリンピックとパラリンピックのオファーが来たものの、パラリンピックまで受諾すると計60日程度の期間となることから、諸事情によりオリンピックのみの受諾とした。受諾確認については、オファーから10日以内に回答をしないと無効となるとの規約があり、家族の快諾もあってオリンピックのみの受諾回答を実施した。今後の参考までであるが、ボランティア申請を行うときに英語もしくはフランス語が必須、他にどんな言語対応ができるか、またそのレベル申請のチェックがあった。(英語を選択)適性検査90問x2の計180問を実施し、スポーツ種目の経験の有無や興味のあるスポーツについて回答する項目があった。(ここでは、応援してきたフェンシングとラグビーを選択して申請した)また、ボランティア申請にあたり、申請理由およびボランティア経験などを含め4000字で記載せよとの項目があった。(さすがに4000字の記載は厳しくもあり、それまでのスポーツボランティアを中心としたボランティア活動の要点と自分は何ができるのかのポイントだけをアピールすることにした。)
 結果的には、適性検査にみられた評点と申請したフェンシングがマッチした配属となった。公表としては45,000〜46,000人の海外ボランティアの募集に対して300,000人の応募があったとのことで、運良く選考されるに至った経緯である。

フェンシングの試合、フランス選手が出場中(試合会場のグラン・パレにて)

3. 所感と振返り
 公用語は英語とされてはいたものの、我がチームの90%以上はフランス人(フランスを主言語とする人たち)であり、ミーティングもほとんどフランス語で実施され毎日が鍛錬であった。それでも、英語ができる人も多く、英訳して活動内容を説明してくれた同志がいてくれたのは本当に心強かった。会場のGrand Palais(グラン・パレ)において、日本語が話せる人は2〜3名しかおらず、まったくのアウェイ感であった。
 一方でご存知の通り、TEAM JAPANフェンシングは5種目でメダル獲得となり歴史的快挙を樹立した。(男子フルーレ団体金、男子エペ個人金、女子フルーレ団体銅、男子エペ団体銀、女子サーブル団体銅)フェンシングについては、期待されていた個人戦が思うように結果が出せずにいた中での団体戦のメダル獲得には、フェンシング母国であるフランス人も驚愕していていたことは、今も目に焼き付いている。試合直前に現地でチームの監督から、武器検査(Weapon Control)の立ち合い補助などの帯同依頼もあり、選手を少しリラックスさせることができたのではないかと自負している。

(左)フランスの女子選手が持ってきて見せてくれた金メダル(アスリート・ラウンジにて)
(右)ボランティア活動の終了時に配布された記念グッズ、但し大会マスコットは自前購入


 今回のボランティア活動は、ラグビーワールドカップ(RWC2019)、東京オリンピックTokyo2020(実施は2021年)に続く世界大会では3回目となった。チーム活動として何が必要か、国籍・言語に関係なく情報共有を行うことの必要性などを学ぶことができた。自身の卒業論文にも書いた内容が実現できたことは嬉しい限りである。また、フランスにおける日本文化の浸透(抹茶、ゆず、漫画、ジャポニズムなど)を感じた。今後は、フランスの国旗色の意である、「自由」「平等」「博愛」をより深く研究し、機会があれば来年もう一度フランスに行き、ゆっくりと探訪したいと考えている。
 素晴らしい仲間たちに感謝したい。

以上

記:鳴嶋一明(二期生)

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