【活動報告2025.6.19】(第37回)縁joy! 日本書紀の会

開催日  : 2025年6月19日(木)
開催場所 : オンライン
出席者  : 荻野、関、増山、森本、深田、鈴木[入会順、敬称略]
<発表者> 森本

 今回の発表は、神功皇后の続編で最終章です。

 息子である応神天皇を政権の中枢に据えるため、息子の異母兄弟と政権争奪戦を繰り広げ、それを征し、国内の政治的・経済的な国家基盤を掌握した神功皇后は、朝鮮半島や中国との外交に力を注ぎます。

 当時、伽耶地域(朝鮮半島南端)の任那に拠点を置いていた日本は、同じ伽耶地域にあった卓淳国を通じて百済と接点を持ちます。百済は隣国新羅との対抗上、安全保障面から日本とのつながりを求め、同時に日本は朝鮮半島の鉄資源や技術を求めるなか、両国の利害が一致し関係を深めていきました。

 ますます関係性を深める百済に比して、百済を陥れ露骨に日本を軽んじる新羅へは派兵することになります。しかし、百済は内政面で権力闘争や民への悪政を行った結果、国力は衰えていきます。そして神功皇后が亡くなった後、最終的には、白村江の戦い(663年)で新羅・唐の連合軍に敗れ新羅に統一されます。同時に、百済を支援した日本も大惨敗し、朝鮮半島の友好国を失っただけでなく、日本国内の防衛体制を整備せざるを得なくなりました。

 一方、神功皇后は中国に対しては度々朝貢し友好を深めつつ、朝鮮半島の利権を確保し続けるよう努めました。

 ミステリーな存在である神功皇后。実在したのか或いは架空の人物なのか。また、時代のズレはあるものの、卑弥呼との関係はいかに。乱世を鎮め治める、困ったときの女帝。日本には神功皇后に限らず多くの事例があることも話題となりました。

 また、外交・軍事・資源・技術・利権などのキーワードは、現代社会にも通じ、未来においても普遍的なものであることを感じながら参加者の議論は続きました。

 応神天皇(誉田別命)といえば八幡神社の主祭神です。おまけ情報として、神社の概要と八幡神社について整理し、次のような事項を紹介しました。

*日本国内には約8万8000社の神社があり、そのうち神職者が駐在する神社は約2万社
*都道府県別ベスト3は、新潟県、兵庫県、福岡県
*系統別ベスト3は、八幡系、伊勢系、天神系。八幡系は約1割で圧倒的な存在感を示す
*神社のランクは、平安時代の「延喜式神名帳」に始まり、明治時代に近代社格制度(官幣社・国弊社)が設定された。現在は正式なものはないものの、これらは今でも神社の格式を示す目安として使われている

 これまで「仲哀天皇(父)—神功皇后(母)—応神天皇(子)」の親子3人に亘り日本書紀を紐解いてきましたが、編纂者がどのような意図をもって記したのか、あれこれと邪推や妄想が頭を巡りながら、歴史の一時代を垣間見る良い機会となりました。

記:森本 曉(1期生)

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