第11回 八雲PC読書会報告
開催日時: 2025年11月28日(金)13:00~15:00
開催場所: 八雲倶楽部
出席者: 6名
帚木蓬生『国銅(こくどう)』を読む
今回の課題書は、帚木蓬生の大作『国銅』(新潮文庫・上下巻、約900ページ)。
奈良時代、聖武天皇の発願による大仏建立という国家事業を、名もなき国人(くにと、くにびと)たちの視点から描いた骨太な歴史小説です。
■ 読後の印象と語り合い
Aさんは、
「立身出世や恋愛の起伏もなく、ひたすら労働と死が続くのに、なぜか読ませる力がある」と。
淡々と働き、学び、成長する庶民たちの姿に、帚木文学の“静かな熱”を感じたそうです。
Bさんは、初読でも再読でも涙が止まらなかったと語りました。
「東大寺建立の物語であり、聖と俗の物語であり、愛や技術、病や死の物語でもある。」
銅の精錬描写に特に魅了されたとのこと。
読むたびに新しい“入口”が見つかる作品だといいます。

Cさんは「一気読みだった」とのこと。
「壮大なテーマに加え、人物描写が丁寧。弱者の視点が大仏建立の意味を際立たせている。」
読後には「物語がこの先も淡々と続いていくような、不思議な感覚が残った」と語りました。
その後『閉鎖病棟』『守教』など帚木作品を再読し、作家の一貫した人間観を再確認されたそうです。
Dさんは、帚木の著書『ネガティブ・ケイパビリティ』を引きながら、「答えの出ない事態に耐える力」が、国人たちの生き方そのものに通じると印象的な発言をされました。
Eさんは、
「忙しくて読めなかったけれど、皆さんの発表を聞いて、名もなき人々の人生に深く思いを寄せる時間になった」と読書会ならではの“間接読書”の楽しみを共有。
Fさんは、長門から平城京への道筋を古地図でたどり、

「古代の旅を想像しながら、国人が乗った船や舟の形まで思い描いた」とビジュアル資料で会を盛り上げてくださいました。
「悪人ではないが愚かな人、沢山の死、その中にある率直さと学びと成長」に共感し、一気に読了されたそうです。
■ 読後の余韻
誰もが語ったのは、「名もなき人々の尊厳」という共通の感慨。
国家の大事業の陰で、ひとりひとりの命と労働が光を放っていたこと。
帚木蓬生が精神科医として、また作家として“人間の営みの重さ”を真正面から描いたことが深く胸に残りました。
■ 二次会は焼き鳥屋で

読書会のあとは、昭和の香りただよう焼き鳥屋で二次会。
熱い読後感を胸に、銅ではなくビールと燗酒を注ぎながら、「次は何を読もうか」とまた語り合う夕べとなりました。
(文責 正田、小原)


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