日 時: 2026年 3月 6日(金)16:00~18:00
参加者: 7名(除く学長)
テーマ: 「それぞれの関心事」
恒例となった大橋学長室での年1回の勉強会、今回で3回目を迎えました。今回は統一テーマを設けず、参加の7名のメンバーが各自の「最近の関心事」について発表し、大橋学長からコメントをいただき、全員で意見交換する形での開催としました。
それぞれのテーマと心に刺さった内容、意見等について紹介します。
Aさん 「生命のBig5-ペルム紀の大絶滅₋-」
地球誕生以来5度の生命絶滅の危機が生じている。その中でも生命の90%以上が壊滅したペルム紀の大絶滅、マグマの噴出により地中の化石燃料が100万年もの間燃え続けた。シベリアトラップと言われている。気温は16度も上昇、海水温は実に40度に達したともされているほどに煮えたぎった地球環境を生じたこのイヴェントについて報告。そして、その時よりも現在のほうが温暖化のペースが速いことがなにを意味するのか。
Bさん 「スペースX社 月面基地建設計画」
スペースX社は当初の基地建設計画を火星から月面へと変更して進めている。理由は、20年以内から10年以内へと実現の見通し時期が短縮できること、それぞれの天体へ向かうタイミングが、火星は26か月に1回だが、月は10日ごとにトライでき、到着までの期間も6か月が2日と短縮できること。月での基地構築の実績を活かして、火星での都市構築を目指すとしている。
自立型の都市建設を想定していて、2027年度には無人機の月着陸を目指している。しかし、重力等が人体に与える影響や資材運搬、自給自足の都市システムなど、課題は多い。
Cさん 「宇宙はなぜ美しいのか 村山斉著」
読み進める中で生じた疑問
- 星の大きさって質量のこと?
⇒大きさと質量は概念が異なる。大きさは半径と直径から割り出し、質量は星を構成する物質の総量(重さ)を指す。星は生まれたときにその質量によりその一生が決まる。質量が小さければ白色矮星となり、大きければ超新星爆発を起こして最後は中性子星やブラックホールとなる。星の明るさと表面温度で整理したHR(ヘルツシュプルング・ラッセル)図をみると質量による配置がよくわかる。 - ウルトラマンの「光の国」を300万光年とした理由は?
⇒本物の「M78星雲」は、地球から約1500光年しか離れていない。乙女座にある楕円銀河は「M87」で、台本のミスプリントという説もあるが、こちらは地球から5350万光年。本物の「M78」はウルトラマンの設定より近すぎるが、「M87」は遠すぎる。本当の「光の国」はどこにあるのか。⇒謎のままです。
Dさん 「旧約聖書ヨブ記38章を読む」
旧約聖書の「ヨブ記」に、神が宇宙の秩序を支配していることを示すための星座が例として挙げられている箇所がある。(ヨブ記38章31~32節)宇宙の星の運行を人間が支配できるのか?・・・否、人間の知恵や力は宇宙の創造者(神)には及ばないと。今は宇宙へのたゆまない探求により、いろいろ解明されつつあり、とても興味をそそられる。しかし、この宇宙を観ることにより、我々の住んでいる地球の尊さがより深まり、この地球で生かされていることの意義を再認識するのである。「白鯨」「カラマーゾフの兄弟」「エデンの東」「銀河鉄道の夜」など、この聖書の箇所が影響を受けている文学作品も多くある。
Eさん 「①天文観測手法、②宇宙創成(初期宇宙・恒星・元素)及び宇宙クイズ」
- AIの進化もあり、シミュレーション天文学はノーベル賞が取れるのだろうか?
⇒観測と実証が伴わないと難しい。 - 今後注目の研究分野は?
⇒初期宇宙を探るにはLISA(宇宙重力波望遠鏡)かな。今ESA(欧州宇宙機関)中心に2030年ころの打ち上げを目指し進められている。 - 星の生成には自発的生成と誘発的生成があると考えてよいか?
⇒宇宙のチリやガスが集まってできる自発的生成と恒星の終末期大爆発など外部からの衝撃、圧縮などの要因でできる誘発的生成の両方がある。 - 鉄は最も安定した元素であり、核融合も核分裂もエネルギーを放出した予定あと落ち着く先は鉄ということになる。鉄は「マジック№元素」と言われ最も安定した構造を持つ。
Fさん 「もっとも古いブラックホールの謎」
2019年、初めてブラックホールの存在が可視化した。多くの科学者の協力と解析努力の結果である。昨年ジェームズ・ウェッブ望遠鏡により、133億年前の大質量の天体Little Red Dotの存在が分かった。宇宙創成5億年後の初期宇宙に生まれた天体と思われる。これはなにか?特徴的なスペクトルを持ちX線や電波の放射が極端に少ない、まさかブラックホールではないだろう。しかし、データ解析した結果、成長過程にあるブラックホールであろうとの見方が強まった。このような天体が約100個見つかっている。星や銀河生成にかかる従来の宇宙理論が覆るかもしれない。
Gさん 「地球に似た系外惑星への移住は可能か?」
地球に一番近いαケンタウリ星まででさえ4.3光年。ボイジャー1号では7万年かかる。光速に迫る推進技術、世代宇宙船の建造、冷凍睡眠技術等々検討しても、ワープ(宇宙空間を歪め遠距離移動する架空の航法)やワームホール(時空のトンネル)などの離れ業がなければ限りなく不可能である。現状で実現するには負のエネルギー(反物質)が必要だが、理論段階にとどまっている。
結論として、この地球をもっと大切にしなくては。
先生のコメントから
- 反物質の話。物質と反物質は、質量や寿命は同じだが性質が真逆の関係(例:電荷がプラス⇔電荷がマイナス)にある。反物質は生成できるが、真空状態で浮かばせた状態でなければ存在できない。取り出して利用することは難しい。
- 物質を構成する陽子、中性子、電子それぞれに反陽子、反中性子、反電子(陽電子)があり、出会った瞬間エネルギーを生じて消滅する。ビッグバン後の混とんとした宇宙には物質と反物質(同じ構造で性質が反対)が生成されたが、この物質と反物質がわずかに非対称(数が異なった)であったため、物質が生まれ残り様々の元素が生成されこの宇宙が誕生した。我々人間も。

発表者の質問事項について大橋学長から熱心かつ丁寧に解説して頂きました
会員の多種多様な関心事にお付き合いくださり、また貴重な情報や示唆をいただき、大橋学長には一同感謝、感謝です。懇親会では押しのSF映画の話題で盛り上がり、次回の開催を約束していただき散会となりました。
<大橋学長を囲んでの勉強会を終えた参加者の感想>
🚀宇宙に関する皆さんの関心事の幅の広さと深さに感心しました。いまだに錆つかないプレゼン能力にもビックリ! 大橋学長から、次の機会も作って欲しいとのリクエストもいただき早速次の企画に思いをめぐらせたいと思いました。
🚀丁寧に疑問に答えてくださる大橋学長。その時は分かったつもりでノートを取るも、見返すと新たな?が…。「証拠が大事」は今回も胸に刻まれました。「反物質」という面白いワードに出会えて、それに関する本の紹介があり、『エイリアン』&『ターミネーター』が話題になるなど楽しく刺激に満ちた会でした。
🚀大橋学長を囲んでの勉強会は、これまで年1回のペースで開催され、今回で3回目になります。
毎回のことながら、皆さんの発表をお聞きして宇宙に関する幅広い視点があることを再認識しました。まだまだ分からないことだらけの宇宙に関する興味は、今後も尽きないと思います。
勉強会後には、円卓を囲んだ語らいの場もあり、たっぷり楽しませていただきました。
🚀1年ぶりの大橋先生を囲んでの勉強会、楽しかったです。テーマも皆異なっていましたが、人類を真ん中に据えると共通項が見えたように思いました。皆さんの発表を聞きながら、最新の情報にアンテナを張っていなかった怠慢を思い知り、反省しきりです。懇親会もあの形ですと、皆の会話が見えていいですね。次回が楽しみです。
🚀ご専門のX線天文学に関係のない、且つ、かなりマニアックな事柄についてお伺いをさせて頂き大橋先生には大変恐縮であった。しかし、本質を素早く捉え的確なご回答。ご見解を受けることができ大変有意義であった。また、宇宙に関連した宇宙物理学とは関係のないトリビアルなクイズをやった際、同好会メンバーとは違い、先生だけ正解を出されたものがあり流石だと感じた。特にSFに関しての造詣の深さに驚いた。今回も、事前摺り合せをすることなく、各人の興味あるテーマで発表を前回同様選択したところ、重複もなくバラエティに富んでいたのがCosmo会らしいところ。
🚀学長との勉強会での発表とあって、テーマを選ぶところから苦労しました。授業で培ったはずのプレゼンスキルもどこへやら、もたもたタジタジの発表でしたが何とか終えられほっとしています。ほかのメンバーの発表はどれも興味深く、宇宙の謎は限りなく、いろいろなアプローチが可能だと思いました。会食は和気あいあいと会話も弾み楽しく過ごしました。カレッジに通い同好会に参加したからこその貴重な体験でした。
🚀私以外の皆さんのプレゼン、スゴいなぁと感心いたしました。大橋先生よりの次回も参加表明もとっても嬉しいですね。お食事会も楽しかったし、いろいろ準備をしていただいた皆さんに感謝です。写真もありがとうございました。
最後に、クイズコーナー / 皆さんもご一緒にお楽しみください。
Q1: 「宇宙」という用語の由来
宇宙(「宇」と「宙」)は古典漢籍『淮南子』に出ており、アインシュタイン同様「時空」の意味としている。実は『淮南子』より先に出ている書物がある。それは何だろうか?
①易経 ②楚辞 ③文選 ④荘子 ⑤韓非子
Q2: アラビア語由来の星座名
ローマ帝国崩壊後、学問の中心はアラビア世界になったため、アルカリ・アルコールなどと同様に星座名もアラビア語由来のものがある。次の一等星の中でアラビア語でないものは?
①リゲル ②デネブ ③ベガ ④ハダル ⑤レグルス
Q3: 『銀河鉄道の夜』と星座
宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』には色々な天体が出てくる(ご本人に書いてないので本当のところは分らないというのはさておき)。次の中で全く出てくる可能性がないのはどれだろうか?
①オリオン座 ②双子座 ③おおぐま座 ④わし座 ⑤いるか座
Q4: SFにおける発明予言
SFの中で「未来に発明されるもの」として予言され実現しているものは少なくない。3大巨匠と言われる作家の内、「自動掃除ロボット」を予言/発明しているのは誰か?
①アイザック・アシモフ ②アーサー・C・クラーク ③ロバート・A・ハインライン
文章: 小倉 芳子
写真: 増山 憲司


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