開催日: 2021年8月19日(木曜日)
開催場所:オンライン
出席者: [入会順、敬称略]
荻野、関、増山、森本、宮嶋、深田、柳下
発表者: 関
投稿者: 荻野
この同好会の記念すべき第1回に「日本書紀の成立と編纂の背景」について熱く語ってくれた関さんが、第5回の今回は「巻第一 神代上」を取り上げ、初回を上回る情熱的な発表をしてくださいました。
「巻第一 神代上」は、次の7段で構成されています。
1. 天地開闢と神々
2. 国生み
3. 黄泉の国
4. 素戔嗚尊の誓約
5. 天の岩屋
6. 八岐大蛇(やまたのおろち)
7. 大己貴神(おおあなむちのみこと)と
少彦名命(すくなひこなのみこと)
本日は第一段 「天地開闢と三柱の神の化生の物語」についてご説明頂きました。
「古に天地未だ別れず、 陰陽 分かれざりし」とされる混沌とした中に、最初に「天」が、次いで「地」が形成され、天と地の間に三柱の神が誕生したという書出しの背景には、「陽⇔陰」「天⇔地」「男⇔女」「乾⇔坤」という、この世界を成り立たせる「本質的な対立概念」により世界が形成されて神が誕生したという世界観があることを知りました。
「三柱の神のそれぞれの役割が、漢字の意味ではなく、次のようにその表現する音に込められている」という説明に「落ちこぼれ感」を感じましたが、何とか食らいつきました。
・国常立尊(くにのとこたちのみこと)
大地 天地生成の中心的な神
・国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
田 神稲を植える神聖な土地の意
・豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)
水 豊かな水のある沼の表象
「ある書(第一)ではこういっている」、「また一書(第二)ではこういっている」、。。。という記述に違和感を感じていましたが、日本書紀に酷似した文章が、次のような中国の古文書にみつかったという説明には驚かされました。
・淮南子(えなんじ)
前漢の武帝の頃(紀元前 179 年~122 年)の思想書
・三五歴紀
中国、三国時代(220年~280年)に作られた神話集
・芸文類聚(げいもんるいじゅう)
唐代初期に成立した類書(一種の百科事典)
関さんが語りたかったことの何割を肌感覚で受け止めることができたのか甚だ心許ない状況ですが、日本書紀の文章を読んだだけでは気づかなかった「なるほど!そういうことか!」という発見は、(少なくとも何点かは)共有できたのではないかと思います。
日本書紀の編纂者たちが中国の文献を精力的に学んでいた様子が目に浮かび、各文献・諸説を無理に統一することはせず、「ある書ではこういっている」として、異説をあるがままに認めて後世に伝えようとした編纂者の意図に共感し、不思議な親近感を感じることができました。
以上
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