開催日 : 2026年4月23日(木)
開催場所: オンライン
出席者 :荻野、増山、森本、宮嶋、深田、柳下、鈴木[入会順、敬称略]
発表者 :関
今回は、約一年ぶりの発表ということで、まず前回の第五段本伝、一書6、11の振り返りと第六段本伝の解説をしました。
第五段本伝のテーマは、「地上世界の統治者を生む」ということです。
陰陽の力を内在した二柱の男女神の性の営みの結果生まれた子供(神)にはそれぞれ特性があり、これからの神話に大きな展開を与えていきます。二柱神が生んだ、日の神(天照大神)、月の神、蛭児、素戔嗚尊に与えたそれぞれの特性に応じた処遇(日の神と月の神は天上界へ送り、蛭児は海に流し、素戔嗚尊は根國へ追放)の結果、第五段の最大のテーマである「地上世界の統治者を生む」ということが、最終的に「統治者が不在のまま」になり、それが、これから展開していく神代偏の中で重要なポイントになるということを第五段本伝の振り返りとして説明しました。
一書6の内容は、神生み、火の神の殺傷、黄泉の国と生死の断絶、禊ぎと三貴神誕生、そして三貴神の文治という構成になっており、それぞれについて簡単に説明。
一書11は、アマテラスの髙天原統治と農業の開始について、ツクヨミ、ウケモチの神の登場と共にアマテラスによる農業、養蚕の開始が語られます。

そして、第六段は、アマテラスとスサノオの「誓約」が大きなテーマになっています。
アマテラスとスサノオとの誓約儀式を通じて、スサノオの心の潔白の証明とアマテラスの子が誕生する神話を伝えます。

スサノオによってアマテラスの身につけていた珠を物実として生み出されて、アマテラスの子となった五柱の男神の長男、「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(まさかあかつ かちはやひ あまの おしほみみのみこと)」
この神は、天孫降臨の命をうけたニニギノミコトの父親です。まずそこが重要ポイント。
誓約神話の主旨は、神話の前後の文脈から、スサノオの心の潔白を証明することにあり、「正哉吾勝」という名を持つオシホミミの誕生は、スサノオの勝利を象徴する意味を担っていると考えられます。
一方で、その神がアマテラスの物実から生まれたということからアマテラスの子であることも、天皇の由来を語る神話の全体の上からみて重要な意味を持っています。
そこで、この本伝における神話の主眼として、目的は、潔白の証明よりも、むしろ、天皇の祖先神としてのオシホミミの誕生を語る。ということにあるのかもしれません。
神話の中で重要な意味を持つ「天孫降臨」を結実させるために、オシホミミは、アマテラスとその孫ニニギとを繋ぐために、間に挿入された神としての存在であったとする考え方もあります。
そして、これはアマテラスからニニギノミコトへ繋ぐ皇統譜を認識させる意図があったということなのではないでしょうか。
日本書紀の歴史認識における神話構造としての最重要テーマは、「天孫降臨したアマテラスの直系の天つ神と歴代天皇の系譜の繋がりを明確に提示すること」だと思います。
そのために、神という存在をとても大きく重要なものとして神代編があるということを再認識しました。
今回、大変重要な意味をもつ第六段の「誓約」について、参加した皆さんにきちんと伝えきることができなかったのは、私の説明の力不足であることを痛感し、深く反省に至りました。
ただ、勉強を進めるにあたり、今まで知りえなかった神話の世界の概念を、私なりに少しでも理解できたことに喜びを感じながら楽しく充実した時間を過ごすことができました。これからも、それを継続していくことで、自身の勉強と皆さんへより明確な解説をすることに活かせていけたらと思っています。
(記)関 佳美


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