幕の内弁当を食べながら江戸の食を旅する
― 魚河岸から庶民、そして将軍の食卓まで ―
7月5日(日)、F&Tラボと修了論文発表の場のコラボ企画として、「幕の内弁当を食べながら江戸の食を旅する」を開催しました。
今回は、プレミアム・カレッジ同窓生19名が参加。1期生8名、2期生3名、4期生4名、5期生1名、6期生3名と、1期生から6期生まで幅広い世代が集い、修了期を越えた交流の場となりました。
企画・運営は竹澤真理さん、小口さん、小原が担当。小口さんは当日、成田空港から会場へ直行し、少し遅れながらも駆け付けてくださり、無事全員で会を進めることができました。
今回のテーマは、「江戸の食文化を、聞くだけではなく、食べ、飲み、語りながら体験すること」。
講演は、「なぜ冷蔵庫も製氷機もない時代に、日本だけで刺身文化が花開いたのか」という問いからスタートしました。
人口100万人の巨大都市・江戸の誕生、参勤交代による物流網、魚河岸市場、庶民の暮らし、外食文化、将軍の食卓、長屋の台所、花見弁当へと話を進めながら、「魚が多かったからではなく、巨大な需要、市場、物流、問屋・料理人などの”プロ”の技術が結び付いた結果として刺身文化が生まれた」という修了論文のテーマをご紹介しました。
講演開始から約30分。「江戸の花見弁当」の話題に合わせて、いよいよ昼食です。今回用意した幕の内弁当は、彩り、味付け、品数ともに素晴らしく、参加されていた調理師や管理栄養士など食の専門家3名からも、「一品一品に手が掛かっていて、とてもおいしい」と大変好評でした。

さらに、江戸時代から親しまれてきた剣菱、江戸時代創業の豊島屋本店が販売する「十右衛門」「金婚」、そして参加者の皆さんから持ち寄っていただいた日本酒も並び、会場は一気に和やかな雰囲気に。講演会でありながら、花見酒を楽しむような「ほろ酔い講演会」となりました。

お弁当を味わい、日本酒を楽しみながら江戸の食文化を学ぶという、F&Tラボらしい時間となり、講演後の質疑応答も大いに盛り上がりました。
会場の雰囲気が最も盛り上がったのは、講演後の質疑応答です。

予定時間いっぱいまで質問が続き、
・将軍は本当に十膳の料理の中から一膳だけを選んで食べたのか。なぜそのような形式だったのか。残りの料理はどうなったのか。
・上方料理と江戸料理はどこが違うのか。現代の日本料理は、そのどちらの流れを受け継いでいるのか。
・江戸へ一年間に四斗樽100万樽もの酒が本当に運ばれていたのか。
・伴四郎の小遣い帳から見えてくる江戸詰め武士の暮らしや家計とは。
・女性である路女は、なぜ漢籍や漢文を読みこなし、自ら著作を書くことができたのか。

・庶民は毎日の炊事をどのように行い、実際にはどのような食生活を送っていたのか。
・伴四郎が食べたという豚鍋は、本当に当時の江戸で食べられていたのか。
など、研究の核心に触れる質問から江戸の暮らしに関する素朴な疑問まで、次々と話題が広がりました。
参加者の声
講義中に紹介された膳料理や刺身、酒肴などの写真は、すべて小原さん自身が調理・撮影したものと知り、会場からは驚きの声が上がりました。
「ここまで自分で作って研究されているとは思わなかった」
「料理と歴史研究が結び付いていて、とても説得力があった」
「歴史の話を聞くだけでなく、実際の料理を通して江戸の食文化を身近に感じることができた。」
「日記や小遣い帳などの一次資料を丹念に読み込み、それらを積み重ねて江戸の食文化を解き明かしている点が素晴らしい」
史料を読み、料理を作り、味わいながら江戸の食文化を探究する――。そんな小原さんならではの講演に、参加者一同、感銘を受けました。
文責 竹澤、小原


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