日 時 : 2026年 9月 25日(金) 15:30~18:30
場 所 : 東京都立大学 学長室会議席
参加者 : 7名(除く学長)
テーマ : 宇宙の謎、「最近の関心事」
恒例となった大橋学長を囲んでの勉強会ですが、今回で4回目を迎えました。例年は年1回の開催ペースでしたが、メンバーの強い要望と大橋学長のご厚意で前期、後期の二回の開催とし、今年3月から半年ぶりの開催となりました。
今回のテーマは、参加7名のメンバーそれぞれが日頃から感じている、“宇宙の謎、「最近の関心事」”、としました。発表の後に全員で質疑応答及び意見交換を行うやり方は従来通りです。
さらに、メンバーからの発表の後、2026年8月22日に開催された、“八丈島民大学講座”で大橋学長が講義された内容のダイジェスト版を改めてお聞かせいただける機会を設けていただきました。それぞれのメンバーの発表テーマと主なポイント、意見等について紹介します。
[ 各自の発表テーマと主なポイント ]
Aさん 「災害・気候変動から地球を見守るJAXA衛星」
JAXA製作の地球観測衛星群の紹介VTR(戦隊ヒーロー風「地球観測団 シン・ジャクサー」)を活用し分かりやすく、かつコンパクトに各衛星が担う地球観測の役目と仕組みを発表
<ポイント>
・各衛星それぞれが単体で機能するだけでなく、衛星間で連係して観測を行っている
・気象庁(ひまわり等)、国交省(XRAIN等)、国土地理院(GEONET等)の観測装置が連携
NASAとESAの協働もある・・はくりゅうはESAと、GMPはNASAと協働(共同)したもの
<課題>
・観測手法および地上との通信状況を知るにはバンド帯のことを知る必要がある
Bさん 「地球幼年期の終わり」とそのオマージュ作品群
「地球幼年期の終わり」は、“SF界のビッグ・スリー”の一人、アーサー・C・クラーク(1917-2008)により書かれた1953年発表のSF小説。日本では1969年に初版、39版を重ね、2017年に新版が発刊された。緻密な科学的考証に裏付けられた描写で、神秘主義的な人類進化のビジョンを描いたとの書評をうけている
<ポイント>
・恩田陸著「愚かな薔薇」に対し、萩尾望都氏は、“これは21世紀の「地球幼年期の終わり」だ”と
評し、期間限定でカバーのイラストを提供している
Cさん 「今、関心があるもの」
手軽に星空観察ができる、スマート望遠鏡に関心がある
先日、天文マニアのオーナーが営む山荘に宿泊し、スマート望遠鏡を使った太陽黒点の動画と静止画を撮影した。簡単、安価、便利に使えて色々な可能性を感じた
<ポイント>
・だれでも簡単に操作できる、天体を確実にとらえられる、美しい天体の色がわかる
・スマホアプリを使いみんなでシェアできる、最新データにアップデートできる
<懸念点>
・簡単気軽過ぎて、誰でも同じ仕上がりになり個性が無くなるのでは?
JAXAの火星衛星探査計画(MMX)の告知ポスターが秀逸
・オレンジ色の輪は、禅の世界で宇宙や真理を一つの円として表したもの
・「また会えるのは、五年後、それまで、地球をよろしく。」の一文が心に刺さる

【メンバーからの発表風景】
Dさん 「落下隕石の生れ(由来)がどうして分かる?」
科目等履修にて、「宇宙・地球・物質の化学」(大浦先生)を受講(前期)、1986年に隕石落下(炭素質コンドライト)した埼玉県狭山市は私の出身地、宇宙の不思議を感じる
<ポイント>
・太陽系の全質量に対する太陽の質量 約99.86%、地球はほんの僅か
・太陽光を分光器でスペクトル分析すると太陽の元素が分かる
・落下隕石から太陽系の元素がわかる、由来がわかる(月由来、火星由来 等)
狭山隕石の出身は「小惑星帯」
Eさん 「オールトの雲と太陽系」
以前の太陽系は、水金地火木土天海(冥)、そのはるか外側に、オールトの雲とエッジワース・カイパーベルトと呼ばれる小惑星、氷の粒等でできた一帯がある
それらから彗星が飛んでくることもある
<ポイント>
・エッジワース・カイパーベルトは、黄道面にドーナツ状に広がる、距離30au
※: au = 天文単位(地球から太陽までの距離)
・オールトの雲は球殻状、距離 数千~10万au
<謎>
太陽系とは、太陽風が届く太陽圏まで? 200au、オールトの雲の領域まで? 10万au
惑星があるのはほんの一部であり外縁部は大きく広がっている
最外縁部には何があるのか?
Fさん 「宇宙エレベーター建設構想」
静止衛星から、バランスをとりながら地球側と宇宙側に非常に長いケーブルを延ばし、人や物資を輸送できるようにしたものが、宇宙エレベーターである
夢のある構想であるが、実現には技術的課題や採算等考えるべき事が多くある
<ポイント>
・宇宙往来の容易化による機会拡大、コストの大幅削減、地球環境破壊の大幅削減
・月や火星における技術開発の進展及び宇宙観光需要の創出
などが利点として考えられる
<課題>
・巨大宇宙空間構造物と地表の環境の両方に耐えうる技術的課題の解決
・ビジネスモデルの具体化

【メンバーからの発表風景】
Gさん 「はやぶさ、はやぶさ2」のイオンエンジンとは
シャープの空気清浄機が使用している“プラズマクラスター”技術と、「はやぶさ」が用いた“プラズマスラスター”は同じような技術? が謎のスタート
<ポイント>
・イオン=電気を帯びた原子や分子、プラズマ=多くのイオンと電子が飛び回っている状態
・イオンエンジン、キセノン(Xe)を推進剤として使う
・地表では、1円玉を1枚持ち上げられない、1時間で時速6cm
長時間運用することで十分な速度を得る、ブレーキは機体の向きを180度転換
<蛇足>
プラズマクラスターはイオンの力で細菌などを無力化するシャープの技術
[ 大橋学長よりの八丈島民大学講座講演内容(ダイジェスト版)]
2026年8月22日に八丈島民大学講座として実施された、大橋学長による講義の様子は一部のメンバーは聴講していましたが、ダイジェスト版として再講義をお願いしました。
要望に応えていただき、当日使用の資料を使い、“ダークな世界”をテーマにしたダイジェスト版講義を行っていただきました。
<ポイント>
・X線で観測できるもの、X線衛星XRISMについて
・ “ブラックホール”、白鳥座X-3、クェーサー、PDS456の観測事例
・“ダークマター“と”銀河団“、ケンタウルス座銀河団の観測事例
・“ダークエネルギー”、宇宙膨張に及ぼす影響

【大橋学長からのダイジェスト講義】
勉強会及び懇親会後に建物から出て見上げる空の雲間には中秋の名月(満月)が明るく輝き、少しヒンヤリとした秋風を心地よいと感じながら帰路につきました。
大橋学長には、来年初頭に開催予定の勉強会にも参加をご検討いただけるとのお話を伺い、メンバー全員また次回に向けてのモチベーションが湧いてきました。

<参加メンバーからの主な感想>
🌕今回は今まで以上に、最近流行の言葉を使えば「1ミリ」も重なっていないテーマ群であった。
これをバラバラと考えるのではなく多様性があると考えるのが妥当であろう。CosmosはChaos=
混沌の反対語であり、ここから取っている同行会名COSMO会に寧ろ相応しい。大橋先生は光エネルギー天文学、就中、X天文学の泰斗でいらっしゃるが、各テーマは先生のご専門と乖離したものが多く、勝手な想像乍ら、先生も楽しんで頂けたのではないかと思う。
🌕今回は我々の発表のみならず、大橋学長からの講演ダイジェストを行っていただき大変に充実した回になったと喜んでいます。メンバーそれぞれの関心事が多義にわたり聞く側としても楽しい一時であった。懇親会前後で見上げた空には見事な満月(中秋の名月)が輝いており爽やかな涼風に吹かれながら秋を感じました。
🌕皆様の宇宙のなぞは、さまざまでした。身近なテーマや夢のあるテーマなど、それぞれ興味深いものでした。私は、学長のクェーサーから吹き出すガスの説明など、新たな気づきがありました。懇親会でも宇宙に限らず、いろいろな話題で、大変楽しい時間となりました。
🌕メンバーそれぞれの関心事が見事にばらけていて、しかも新たな知見も得ることができ楽しかったです。特に大橋学長のミニ講義は、ブラックホールやダークマター、ダークエネルギーといった私の関心事のストライクゾーンで、とても贅沢な時間を過ごさせていただきました。
🌕大橋先生との勉強会は充実した有意義な時間でした。皆さんの「最近の関心事」の発表は多岐にわたっていて、面白くとても勉強になりましたし、大橋先生の講義を間近で拝聴でき、何とも贅沢な時を持つことができました。
🌕大橋学長を囲んで充実した時間を過ごすことができました。発表は様々なテーマが並び、どれも大変興味深く、進行中の題材についてはこれからも注目していきたい、関連の書籍などぜひ読んでみようと刺激を受けました。ダイジェスト版ではありましたが、学長の講座ではカレッジでの講義を懐かしく、難しかったなあ、と思い出しました。大変貴重な時間でした。
🌕4回目を迎えた大橋先生との勉強会、毎回のことながら皆さんの視点の多様さに驚かされました。ついつい自分自身の関心事中心に考えがちな中、宇宙に関して様々な見方があることに気付けるこのような機会はこれからも大切にしていきたいと思います。大橋先生の八丈島民大学講座のダイジェスト版につきましては、資料を配布頂き直接ご講義を聞かせて頂けて、理解度が上がりました。そして、勉強会終了後に外に出ると、それまで曇り空だったのに「中秋の名月」が顔を出してくれて、とても感慨深かったことも印象に残りました。
(文責:二期生 松尾佳宏)


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