開催日: 2021年9月16日(木)
開催場所: オンライン
出席者[入会順、敬称略]: 荻野、関、増山、森本、宮嶋、深田、柳下
発表者: 森本
投稿者: 森本、関
「縁joy!日本書紀の会」の活動報告は第6回目を迎えましたが、今回から発表者が内容に関する概要を作成し、他の会員が発表の感想を投稿することになりました。
今回は第15代応神天皇について森本が発表しました。あまり馴染みのない天皇かもしれませんが、あの有名な仁徳天皇の父で、仁徳天皇陵に次ぐ大きな御陵が大阪府にあり、全国の八幡神社にお祀りされている八幡神といえばピンとくるかもしれません。さらに、強かな外交戦略により朝鮮半島や中国大陸から技術(者)を導入し、農業から製造業(絹織物など)に至るまで幅広く日本国のポテンシャルを上げるとともに、国内基盤を掌握することにより平和で安定した社会を創ったことも分かりました。また、女性好きな面が随所に記録されており、国政というハード面だけでなく、人間性を伴うソフト面でも豊かな活動をされた人物として興味深いと感じました。
日本書紀は漢字で書かれた国史で、当会ではその現代語訳を共通テキストとしていますが、初心者の私にとっては現代語訳でも理解できないことが多いため、他のネット情報などを活用しながら読み解く作業を進め、最終的に難波言葉(大阪弁)で少し吹き出すような勝手書き下し資料を作成し発表を行いました。その効果や評価は他の会員の方にお任せしますが、自分自身が腑に落ちるように取り組んだ結果です。
次回以降は、応神天皇の母である神功皇后について読み解き、さらに親子2人に関する諸説や八幡神社、御陵へと研究を進めていく予定です。
(発表者:森本)
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森本さんのプレゼン資料が、発表の一週間ほど前に送られてきました。
メールには「日本書紀初心者の私にとっては、先ずは素直に?読み解き、自分自身が腑に落ちることこそが肝心と考えて作成しました。下品で不謹慎だと眉をしかめる方がおられるかもしれませんが、どうぞご容赦下さい。(中略)時間に余裕があれば事前に目を通して頂ければと存じます」と記されていました。
ん?!「下品で不謹慎」?!いったいどういうことだろう…と、怖い物見たさのような気持ちを持ちつつ興味津々で送られてきた資料を開きました。
『第15代応神天皇』の古代の尊厳ある天皇像からカラフルでアニメチックな応神天皇が四隅中央に載せられている表紙から始まり、ページをめくるごとにこの章に関連する地図や画像はもちろん、その他にアニメのキャラクター(鬼滅の刃の柱やタイムマシーンに乗ったドラえもん他)が挿絵として彩り豊かに添えられていました。
そして、それぞれのテーマに沿ってまとめられた文章のいたるところに、薄緑色のふきだしがあり、そこにはその事項内容に対するツッコミが大阪弁で付け加えられています。
まさに!大阪人森本暁ワールド全開!満載!の「応神天皇」劇場の始まりの予感!?
皆さんで共有している「日本書紀全現代語訳」の「応神天皇」の章を予習として読みましたが、なかなか登場人物の関係性や出来事とその時間の流れがわかりにくく、そこに新羅やら百済やら東アジアとの関係性も複雑にちりばめられており、いったい「応神天皇」は国内外でどういう存在として描かれているのか!?いまいち「応神天皇」の存在を実像として捉えることができませんでした。
森本さんの資料は、項目ごとにその内容を箇条書きにまとめ上げ、ただ文字を追う作業ではなく、そこにある(時々プッと吹き出したくなるような)挿絵が、内容をより理解する役目を示しており、そして、ふきだしのツッコミは、まさしく「言い得たり!」と誰もが思うことや本文では語られていないことをわかりやすく(大阪弁で)解説していることがわかりました。
当日、森本さんは、通常とおり到って冷静に(標準語で)、資料を示しながら
*応神天皇を選んだ理由
*多角度からの視点で捉えた応神天皇像
*内容の四柱の第一回目「日本書紀応神天皇の概要」
(ここで鬼滅の刃の柱の挿絵登場)
・誕生と即位 ・系図 ・朝鮮半島との外交交易
・血族との確執 ・恋愛と婚姻
・先進国(朝鮮半島や中国)の最新技術の導入 ・皇位継承問題
*まとめ~時空を超え~(ここにタイムマシーンに乗ったドラえもんが!)
以上を丁寧に解説してくださいました。
多くの文献から得た森本さんの生きた言葉で語られる「応神天皇」」は、強くしたたかに国内外において権力基盤を構築していった天皇像として、また、女性への思慕を歌に託し、喜び哀しみの感情豊かな、森本さんが親しみをこめて呼ぶ「応神さん」として、目の前に浮かびあがるのを実感しました。
日本書紀の「に」の字も知らない仲間たちが、それぞれに選んだ天皇を、それぞれの方法で考察し、プレゼン資料を作成し発表する。そこには、いつもその天皇へ想いを馳せ真剣に向き合い勉強している仲間の熱意を感じます。
今回の森本さんのプレゼンも「下品で不謹慎」なところなど微塵もなく、日本で初めて編纂された「日本書紀」の世界を知りたいという森本さんの探究心を、「応神天皇」を通していたるところに感じるプレゼンだったと思います。(感想:関)
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