「日本をもっと知りたいかい(会)」(以下、「当会」)第1回目の活動として江東区の瀧澤硝子工芸を訪問し、「匠が語る江戸切子と切子づくり体験会」を実施しました。今回は受入可能人数が少ないことや、開催日が木曜で大学の授業日であったことから、混乱を避けるため、第1期生を対象に参加者を募り9名が体験しました。
匠の瀧澤利夫氏は、切子職人で初めて瑞宝単光章を受章したほか、「日本・東京都伝統工芸士」にも認定され、さらに東京都名誉都民に顕彰されています。御年83歳ですが、お元気に切子づくりに励んでおられます。
当会ではフィールドワークの前に、そのテーマに関する基本的な事項を予習しておくことを原則としており、今回は瀧澤硝子工芸のHPとYouTube動画を参加者にお知らせし事前学習をしていただきました。
とは言うものの、最初に簡単な作業手順の説明を受けただけでは、いざ切子づくりになると「硝子は割れないか」「穴が開くんじゃないか」と皆が尻込みしましたが、先陣を切ったのは吉本さん。匠の手ほどきを受けながらどんどん削り、周りで観ていた皆さんも恐る恐る始め、指先で感触を感じ取りながら作業が進みました。硝子皿に綺麗な模様ができると皆さん満足げで、作業中の真剣な眼差しと、作業後の笑顔が入り交じる工房となりました。作品が工房でさらに磨き上げられて手元に届くのが待ち遠しいです。
作業終了後、職人としての人生と切子づくりに関し、匠より1時間以上に亘り、ご高齢ながらお元気に立ったままお話いただきました。立ったまま大丈夫かなと心配し椅子をおすすめしましたが、そのまま話を続けられ、匠の矍鑠たる姿を目の当たりにしました。幼い頃から家庭の事情で苦労したこと、職人として技術を磨き続けたこと、江戸切子の重鎮となり多くのビジネスチャンスを得たことなどについてご説明いただきました。「今の子どもに足りないのは我慢」「一番嬉しかったのは、瑞宝章受章の際、迎賓館の授章式に妻と一緒に出席できたこと、また昨年東京都名誉都民に顕彰された際、いまの自分を支えてくれる一人娘と一緒に出席し、父としての功績を示すことが出来たこと」との言葉に、職人としてのブレない無骨な面と、人としてのソフトな面に、何とも言えない魅力を感じました。
匠の作品を前に多くのご説明をいただくうち、皆が作品の美しさに魅了され、終了後にはクレジットカード片手に列をつくる状況となりました。
当会では、今後も肌で感じることができる体験型学習を企画する予定ですので、皆さん一緒に学びましょう。
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