(自主研究課題)「プレミアム・カレッジに関する共同研究」レポート(概要版)

―学ぶ喜び/出合う喜び/プレミアム・カレッジの継続・更なる発展を願って-

目次

背景/目的

レミアム・カレッジ(以下「PC」とする。)がスタートして3年が経過した。2019年4月に入学した53名の一期生はそこでの学びと仲間と語らいで足跡を残した。PCは設立の趣旨通りだったのか課題はあるのか、一期生の足跡を追うことで明らかしたいと考えた。
 修了生のPCでの成果と次のステップの実態を調査し、PC生への期待「知的好奇心に溢れ、未知のものにチャレンジする」「人とのかかわりを大切にし、これまでの人生経験や本学での学びの成果を、社会に還元する等、社会に貢献する」が実現できているかを検証することがPCの今後の継続と発展につながると考える。

調査方法

  • アンケート調査:一期生53名を対象にアンケートを実施し、PCについて成果と課題を調査する。
  • インタビュー調査:指導教員等プレミアム・カレッジ関係者にインタビューを実施し、成果と課題を別の視点から検証する。

アンケート調査

調査対象
東京都立大学プレミアム・カレッジ一期生 53名
有効回答39名(回収率78%)     
*メールによる依頼・回答のため、メール未着者を除く50名を母数とする

【以下文中凡例】
 FW:フィールドワーク
 (60/M):60代男性、Wは女性

修科目についてのコメント分析

上記の表は、コメントを10の評価カテゴリーに分類し分析した結果からPC生がどのような点に満足感を覚え、評価したのかを示す。

コメントから浮かび上がったPC生の姿

学ぶ喜び/出会う喜び/プレミアム・カレッジへの熱い思い

 コメントからは、新たな知識に出会い自らが学びを深めていくことの高い満足感と達成感、仲間との出会い・交流を楽しみ喜ぶ思いがあふれる。
 特に、ゼミナールにおける修了論文の作成、都立大と東京都の行政資源を活用したFWについては、大きな満足感を覚え、都立大ならではの授業と認識し、都立大の魅力、強みであるとしている。

PC終了後のカレッジ生の姿

自ら学び続ける意欲/ボランティア・地域活動への積極的な参画の意思

PC卒業の理由或いは卒業後の予定についての回答数値
「大学院への進学/研究を継続し深める」…10名(25.6%)
「ボランティア等新たな活動を始める」…7名(18%)
数値以外に、コメントから読み取れる学習意欲として、より専門的な科目履修へと進むケースやオープンユニバーシティへの切り替え、仕事の中でのスキルアップへと繋げるケース等もあり、自主的に学びを継続する数は数値で示す以上に大きい。
 ボランティア・地域活動への参画については、PC入学前から取り組んでいるケースが多くあるほか、「体操教室の立ち上げ」等既に一歩を踏み出したケースも数件あり、PC生の多くが地域コミュニティとの関わりに意欲を示している。

課題

  • もっとPCで学びたい⇒リカレント教育の充実・推進
  • SDGsの視点での教育環境整備⇒女性教員の確保
  • PC生の活用・継続学習⇒PC修了後の支援
  • PCの運営体制についてはほぼすべてのPC生が満足。その上で一期生の願いは、

プレミアム・カレッジの継続、そして更なる発展

コメント例(60/M/自由意見)

インタビュー調査

  • 調査の概要

 PCにおいて主にゼミナールの指導教官を担当する13名の先生方へインタビューを実施し、総インタビュー時間は約11時間に達した。調査結果の分析は、作成した逐語録の内容を質問項目に沿った分類を行うなかで、先生方が各項目への関わりに際して、どの様に感じているかの概念を抽出する事により分析を行った。各質問項目に関する分析結果の概要を以下に示す。

  • 授業

 多様なカレッジ生に対する授業内容の設定に先生方は苦労されている。授業はカレッジ生自らの興味を深めるための学びのきっかけであることが確認された。

  • ゼミナール

 バックグラウンドや興味の対象が多様であるカレッジ生の指導への配慮、及び専門外のテーマを指導する事に対する不安などが確認出来た。カレッジ生に対して目標を明確にした研究に満足することや、ゼミナールの議論で感化し合うことの大切さなどが先生方から求められていた。

  • 修了論文

 あくまでもカレッジ生が自らの修了論文にどこまで満足出来るかが重要であると先生方は考えている。また、修了論文を作成するプロセスで、ディスカッションしながら纏めることや、自分の考えを文書化することが大切であるとの指摘もあった。

  • 運営

 PCの運営全般について色々な考えが示された。PCの特徴の一つであるフィールドワークを重視する考えも、多摩地区や東京都の現場、などのキーワードと共に確認された。より深く学ぶことや、ゆったり学ぶ事への問題提起も為されており、多様なカレッジ生の要望にもっと応える必要性も指摘されている。リカレント教育と100歳大学が結びついて、学びを求めるシニア層に大学が学びの場を提供することに価値があるとされている。先生方の熱心な取り組みも多く確認されており、PCが旨く行っている大きな要因となっているのではないだろうか。

  • プレミアム・カレッジの将来

 将来に渡って継続するためには、PCで学ぶ分野を拡大すると共に、その分野の先生方をどう繋げていくかが重要な課題であることが判った。最終的にPCが学部のような組織になることが理想であり、その為に学びやコミュニティの場として進化し、進化したPCが良い評価を受けて、さらなる変化をするサイクルが回る事で理想に近づくことが出来ると考えられている。

  • 修了生に望むこと

 変化、始める、学びなどのキーワードで表された期待が込められている。変化では新たな視点を加えることや、カレッジ生の変化が周りへの良い影響を与えることが望まれている。始めるでは、カレッジで経験したことを今後の新たな活動へ活かして欲しい気持ちが含まれており、学びは、学びの楽しさを経験し修了後も学びを継続して貰いたい気持ちが示されていた。

提 言

 プレミアム・カレッジは素晴らしいスタートを切った。カレッジ生の多様なニーズに応え、修了後の学び直しの継続、社会貢献のきっかけとなっている。そこで、プレミアム・カレッジの継続、更なる発展を願い、次の項目について提言する。

 以上、本自主研究にご協力いただいた先生方、事務局、一期生の皆様に深く感謝申し上げ、プレミアム・カレッジの更なる発展を願っての提言とさせていただきます。

 本共同研究は、去る3月4日に大学国際交流会館大会議室ににおいて、大橋学長はじめ先生方、一期生、二期生、三期生の皆さん合わせて60名余の方々にご参加いただき報告させていただきました。HPに掲載させていただいたものはその際に配布した概要版です。本文は、4月以降、PCラウンジの修論集の棚に配架される予定です。

2022年3月
東京都立大学プレミアム・カレッジ
一期生/研究生コース/自主研究チーム
大和田明宜/小倉芳子/正田康夫

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