「低温調理って難しい?」――温度は低め、食欲と会話は高め!
10月31日(土)、第9回Food&Talkラボ「低温調理って難しい?」を開催しました。今回は8名が参加し、5期生の宮脇さんと1期生の小原さんを講師に、低温調理の基本から実際の調理方法まで、実演と試食を交えながら学びました。
低温調理とは、食材を比較的低い温度で、時間をかけて加熱する調理法です。温度と時間を適切に管理することで、肉などをしっとり柔らかく仕上げられるのが大きな特徴です。
「低温調理って難しそう」「専用の器具がないとできないの?」。そんな疑問に答える、実践的な勉強会となりました。
まずは実演。水の力で空気を抜く?

最初に小原さんが、低温調理のポイントを実演で紹介しました。
参加者も一人ずつ、水を張ったボウルと食品保存袋を使い、袋の中の空気を水圧で押し出す「水圧法」に挑戦。特別な真空包装機を使わなくても、家庭で手軽にできる方法です。
実際にやってみると、なるほど、意外に簡単。水の力を借りて袋の空気を抜くという、ちょっとした理科の実験のような体験でした。
こうして鶏むね肉と卵を低温調理器をセットした鍋に入れ、加熱している間に勉強会が始まりました。
低温調理は「温度」と「時間」が決め手 温泉卵も簡単

講義では、小原さんから低温調理の基本的な仕組みや、食材による適切な温度・時間の違い、衛生面での注意点などについて説明がありました。
例えば、鶏むね肉は加熱しすぎるとパサつきがちですが、適切な温度と時間で調理すれば、驚くほどしっとりした仕上がりになります。豚肉や牛肉も、部位や厚さによって加熱条件を変えることが大切です。
ただし、低温だから何でもよいわけではありません。食材の中心まで十分に加熱し、食中毒を防ぐための温度管理と衛生管理が欠かせません。

宮脇さんからは、ご家庭で日頃実践している低温調理について紹介していただきました。
専用の調理器を上手に活用すれば、火加減を絶えず見張る必要がなく、失敗も少なくなります。毎日の食卓に取り入れやすい料理や、ご家族とおいしく健康的に食事を楽しむための工夫など、実生活に根ざしたアイデアをたくさん教えていただきました。
料理は手間をかけるほどおいしくなる、とは限りません。手間を省いておいしくなるなら、こんなにありがたいことはありません。
参加者からも質問が相次ぎ、講義は和やかな雰囲気の中で進みました。
いよいよ試食。食卓には豪華なオードブルが!

勉強会の後は、お待ちかねの試食会です。
小原さんが前日から準備した料理は、鶏むねハム、砂肝のコンフィ、塩漬けして熟成させた豚肩ロースハム、オーストラリア産牛もも肉のローストビーフ。
ちょっと寄り道――砂肝のコンフィを作ってみませんか?
今回の料理の中でも、砂肝のコンフィは「ぜひレシピを紹介してほしい」というリクエストをいただきました。
砂肝といえば、焼き鳥のコリコリした歯応えがおなじみですが、低温調理では温度と時間を変えることで、食感の違いを楽しむことができます。
コリコリ感を残すか、少し柔らかく仕上げるか。それとも、じっくり加熱してコンフィらしい柔らかさを目指すか。好みに合わせて工夫できるのが、低温調理の面白さです。

砂肝のコンフィ 材料(砂肝500gに対して)
材料 分量 塩 10g(2%)、オリーブオイル 75mL、ローズマリー 生の小枝1本(3〜5cm)、ニンニク 2片、クミンシード 小さじ1/3、ローリエ 1枚、黒胡椒 適量
砂肝を下処理し、調味料とともに袋に入れて冷蔵庫で一晩マリネ。低温調理後は速やかに冷却。
加熱条件 食感の目安
・65℃・90分 コリコリ感が強い
・68℃・3時間 歯応えを残しつつ、やや柔らかい
・75℃・4時間 さらに柔らかく、コンフィらしい
※上記は食感の比較例であり、十分な加熱殺菌を保証する条件ではありません。特に鶏の内臓は食中毒菌への注意が必要です。中心温度と必要な保持時間を確認し、安全な加熱条件で調理してください。
同じ砂肝でも、温度と時間によって違ったおいしさが生まれます。まずは安全な加熱条件を守りながら、自分好みの食感を探してみてください。
料理に正解は一つとは限りません。「わが家の砂肝コンフィはこれ!」というお気に入りが見つかるのも、低温調理の楽しさです。
鶏むねハムは、ポン酢と柚子胡椒の和風、塩・胡椒とオリーブオイルの洋風、ネギとごま油の中華風という3種類の味付けで食べ比べました。
さらに、竹澤さんと小口さんが用意してくださった彩り豊かなサラダやサンドイッチ、バゲットなどが加わり、テーブルは豪華なオードブルでいっぱいになりました。
「こんなにおいしく作れるなら、私も低温調理器を買いたい!」という声も上がり、どの料理も好評。皆さん、おかわりをしながら、一品ずつじっくり味わってくださいました。
準備した側としては、うれしいと同時に、ほっと胸をなで下ろすひとときでした。
ワインとともに、食の話は尽きません
おいしい料理にワインも加わり、話題は最近訪れたお店や印象に残った料理、家庭での得意料理などへと広がりました。

立川のおいしいスパニッシュバーを紹介してくださった方からは、結婚40周年を記念して、奥様の長年の夢だったキッチンの大規模リフォームを実現したというお話も。ガスオーブンを新たに導入し、奥様が焼く手作りパンは格別のおいしさだそうです。結婚40周年にして、なお熱々のご夫婦。こちらもごちそうさまでした!
同じく立川の魚料理のお店を紹介してくださった方は、普段の料理はほとんど奥様任せとのこと。しかし、スパイスの配合から手がける自家製カレーには自信あり。「今度はカレーの会や発酵食品の会をやりませんか」と、新しい企画の提案もいただきました。カレーの会、これはぜひ実現したいものです。
二子玉川のおそばのお店を紹介してくださった方は、トルコで食べたムサカの味が強く印象に残っているとのこと。翌日からヨーロッパ旅行というお忙しい日程にもかかわらず参加してくださいました。旅先でまた新しいおいしさとの出会いがあることでしょう。100g298円の一番安い輸入牛肉でこんなにおいしいローストビーフができるなんてとうれしいお褒めの言葉もいただきました。
北参道のフレンチレストランを紹介してくださった方は、ご家庭では料理の約8割を担当。食材の買い物が大好きで、特に安いものを見つけると、ついつい買ってしまうのだそうです。そして、買った食材を無駄にせず、どうおいしく使い切るかを考えるのが楽しいとのこと。盛り付けや彩りにもこだわる、まさに料理を楽しむ達人です。安いから買うのか、料理を作りたいから買うのか、そのあたりは少々謎ですが……。
ご家族の健康を考え、日頃は優しい味付けの家庭料理を作っているという方からは、「どうしても味付けが単調になりがち」というお話も。だからこそ、外でおいしい料理をいただく時間が何よりの楽しみなのだそうです。神楽坂のフレンチレストランを紹介してくださり、料理だけでなくサービスも素晴らしいとのことでした。
また、阿佐ヶ谷の低温調理にも通じる工夫をしたとんかつ店を紹介してくださった方は、ご家庭では冷凍食品に頼らず、手作りの料理を大切にしているとのこと。息子さんお二人のお弁当も作っていらっしゃるそうです。手間を惜しまず作る、心も体も温まる家庭料理。こちらも、ぜひ一度ごちそうになってみたいものです。
おいしく食べて、楽しく語って
今回の会では、低温調理の技術を学ぶだけでなく、参加者それぞれの食への思いや、家庭での工夫、旅先での思い出など、さまざまなお話を伺うことができました。
「シニア世代が元気に活動を続ける秘訣は、運動や生活習慣も大切だけれど、何よりおいしく、楽しく食べることではないか」という意見も披露されました。今回の会を振り返ると、なるほど、とうなずきたくなるお話です。
料理には、その人の暮らしや好み、家族との関係まで表れるものですね。
低温調理器の温度設定は60〜70℃前後が中心でしたが、食欲と会話の温度は、最後まで高いまま。
おいしい料理を囲めば、初めて聞く話も次々と飛び出し、話題は尽きません。
これからもFood&Talkラボでは、「食べること」を入り口に、料理、文化、歴史、そして日々の暮らしへと話題を広げ、楽しい交流の場を作っていきたいと思います。
ご参加いただいた皆さん、講師のお二人、準備にご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。
(文責 竹澤、小原)


コメント